宿泊意向と支払い許容額から改修の優先度を可視化。データで導くホテルリニューアル戦略

  • 訪日マーケティングパートナー事業

公開日: 2026/08/27

関東にあるシティホテル

ホテル客室

稼働率90%を誇る関東シティホテル様において、客単価および泊数の引き上げを目的としたリニューアル調査・戦略立案を支援した事例です。Webによる定量調査と現地での対面インタビューを組み合わせ、国別のニーズや「追加でいくらまで支払ってもよいか」を示す追加支払意向(WTP) を分析。データに基づいた投資優先度を可視化し、社内の意思決定に貢献しました。

高稼働を維持する中で求められた、客単価向上と投資対効果の客観的根拠

開業から20年以上が経過した当該ホテルでは、利用客の約8割を訪日外国人が占めるなど、客層の大きな変化に直面していました。

当時、すでに稼働率は90%と高い水準を維持しており、社内からは大規模なリニューアル投資によって期待どおりの成果が得られるのか、といった費用対効果を疑問視する声があがっていました。

必要とされていたのは、全面的なラグジュアリー化ではなく、部屋のアップグレードや付帯消費による客単価・泊数の向上です。限られた改修予算をどのエリアへ優先的に振り分けるべきかを判断するため、社内を納得させられる客観的な根拠データが求められていました。

市場ごとの体験前提の違いを捉え、追加支払意向から課金構造を分析

台湾では訪日リピーターが71%を占める一方、米国では未訪日層が74%。実体験をもとにホテルを評価する台湾市場と、訪日前の期待をもとに判断する米国市場では、重視するポイントが異なることが分かりました。 

この前提をもとに、各改修案をどの程度評価するかに加え、「追加でいくらまで支払ってもよいか」を10ドル単位で確認しました。 

その結果、特定の改修項目は単に経年劣化を解消する「再訪してもらうために最低限クリアすべき前提条件(守りの投資)」にとどまる一方、追加料金を支払ってでも利用したいと評価される項目があることが分かりました。 これにより、どの改修項目を収益向上につなげるべきか、優先順位を整理できました。 

Web定量調査と現地インタビューを組み合わせ、行動実態と許容価格を抽出

プロジェクトでは、市場全体へのアプローチと滞在客への深掘りを切り分けた2パターンの調査を実施しました。

メインとなるWebアンケート調査(米国n=257、台湾n=217)では、未経験者でも回答できるよう専門用語を排除した29問の設問を設計。各改修案の重視度とともに追加許容額(WTP)を聴取し、パース画像を交えて評価を計測しました。

また、ホテルの現地ロビーにて10名のインバウンド客へ30分間の対面インタビューも実施。Web調査だけでは捉えにくい「眺望に対する価値感」や「館内飲食と外食の実態」など、実際の滞在中に感じた不満や期待を深掘りしています。

改修項目を「最低限必要な投資」と「収益につながる投資」に分類 

調査結果から、改修項目を大きく2つに整理しました。 

1つは、「改善してほしいが、追加料金を支払ってまで求めるものではない」基本設備です。これらは満足度を下げないために必要な、優先的に改善すべき項目と位置づけました。

もう1つは、「追加料金を払ってでも利用したい」と評価されたサービスです。こちらは客単価向上につながる可能性がある項目として、投資優先度を高く設定しました。

また、繁体字圏の宿泊客へのインタビューでは、眺望への関心と価格許容度が確認され、追加サービスの検討材料にもなりました。

こうした調査結果をもとに、改修の必要性だけでなく、期待できる収益も含めて優先順位を整理。感覚ではなくデータをもとに、社内で投資判断を進めるための材料として活用されています。

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